こんにちは、ジーン(@btcgene3)です。
今回は、仮想通貨仲間のうめ吉さん(@umekichi8hvt)による寄稿記事の第5弾です。
どうも、うめ吉です。
『イノベーションのジレンマ(原題:Innovator’s Dilemma)』という本を知ってますか? クレイトン・クリステンセンが1997年にはじめて理論を提唱し、2001年には日本語訳が出版された、企業経営のベストセラー本です。
以前からこのイノベーションのジレンマが仮想通貨の現状にピッタリ当てはまってるようなので、今回これをとりあげる事にしました。
と、ここまで書くとなんかムズカシーく感じちゃうと思うけど、実際はそんな難しくない内容なので良かったら読んでね!
イノベーションのジレンマって何なの?
まず、イノベーションって言葉についてだけど、日本語では「新結合、新しい捉え方、新しい技術の創造」という意味です。
ものすごーくざっくりいうと、今までなかったやり方やモノ、ということ。
そしてジレンマとは、日本語でいうと「板ばさみ、選択肢が2つあってどちらかを選ぶのが難しい状態」です。
なので、イノベーションのジレンマというのは、「新しいやり方が2通りあってどちらを選ぶか決めるのが難しい」ということ。 特にこの場合は、ほとんどがAを選ぶにも関わらず、正解はBなんだよって事なんです。
そして、著書『イノベーションのジレンマ』には邦題に副題として、“技術革新が巨大企業を滅ぼすとき”とつけられています。
これはどういうことかと言うと、まず従来の巨大企業は優れた製品やサービスを持っているので、その優れているものをさらに良くしようと改良を重ねていき、顧客のニーズも製品やサービスがもっと良くなることを求めるので、改良することに一生懸命になってしまいます。
他方で、全く違った方向から出てきた新しい技術やモノに対しては、それが世の中に出てきたばかりで低価格で品質も良くないためその市場に参入したり投資することを軽視するので、新たな技術やモノ売りだし始めた新興企業に結果的に遅れをとって、巨大企業が力を失うことになるんです。
もう少し簡単にいうと、例えば今、高性能のデジタルカメラが売れなくなったって話をきかないですか?
売れなくなった理由は携帯電話やスマートフォンのカメラが主流になったからなんだけど、最初、大手のカメラメーカーは売り上げが落ちてきたことで「もっと性能を上げて新しい機能をつければまた買ってくれる」と結論を出し、一方で携帯電話に付属のカメラについては「画像も荒いし特に気にする必要はない」と気にもとめなかったんです。
結果、デジタルカメラの需要のほとんどは携帯電話やスマートフォンのカメラに取って代わられ、高性能のデジタルカメラは一部のマニアだけのものになってしまったというわけ。
これがイノベーションのジレンマのひとつの例です。 また、この例でいう携帯電話やスマホ搭載にされた機能のひとつとしてのカメラなどの、従来製品の価値観を破壊するようなイノベーションは「破壊的イノベーション」と名付けられています。
なんで巨大企業は「破壊的イノベーション」に参入しないの?
これは巨大企業が合理的に判断した結果として起こることなんです。 著者クリステンセンは、これが5つの原則によって起こるとしています。
(参照:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/イノベーションのジレンマ)
1.企業は顧客と投資家に資源を依存している。
既存顧客や短期的利益を求める株主の意向が優先される。 つまり、巨大企業は顧客や株主の目の前のニーズに応えるための技術の向上をしているというということです。
2.小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない。
イノベーションの初期では、市場規模が小さく、大企業にとっては参入の価値がないように見える。 これは、新しく出てきた市場はまだ小さく、技術も荒削りで、巨大企業からすれば魅力的に見えないんですね。
3.存在しない市場は分析できない。
イノベーションの初期では、不確実性も高く、現存する市場と比較すると、参入の価値がないように見える。 ようは今まで存在していなかったものなので、データの分析などができないから、数字で見えるような尺度もないから無価値に見えるって事です。
4.組織の能力は無能力の決定的要因になる。
既存事業を営むための能力が高まることで、異なる事業が行えなくなる。 今まで積み上げてきた技術があって、相応の金額の投資もしているから、なかなかそこから全く新しいものには乗り換えられないってことですかね。 いわゆるコンコルド効果みたいなものかな。
(参照:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/コンコルド効果)
5.技術の供給は市場の需要と等しいとは限らない。
既存技術を高めることと、それに需要があることは関係がない。 つまり、めちゃくちゃ高性能なものは世の中の大多数の人は必要としていないことがほとんど、ってことですかね。
巨大企業が新興企業と比べると大幅に「破壊的イノベーション」への参入が遅れるのがおわかりいただけたでしょうかね?
なんとなくわかったけど、仮想通貨にもあてはまるの
そうなんです。 仮想通貨は通貨や有価証券の市場にとって、「破壊的イノベーション」となるものなんです。
そして、巨大企業はそのまま、民間銀行や各国の中央銀行にあてはまります。 通貨や証券は100年以上もの間、技術やノウハウを蓄え機能を向上させてきたがために、それに取って代わるものが現れるというイメージがしにくいというところもあります。
ここで、巨大企業が合理的に「破壊的イノベーション」に参入しない5つの原則を仮想通貨に当てはめると、
1.企業は顧客と投資家に資源を依存している。
仮想通貨はまだ大多数の人々からはあってもなくてもいいものなので、ニーズは今までの通貨や有価証券のほうにあります。
2.小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない。
仮想通貨は破壊的イノベーションの初期段階なので、現存の金融市場と比べれば豆つぶみたいなものです。
3.存在しない市場は分析できない。
仮想通貨市場はまだできて日の浅い市場なので不確実性も高く、データの蓄積も少ないので分析なんて難しいですよね。
4.組織の能力は無能力の決定的要因になる。
いままで長い間、通貨は中央銀行が管理していたし、金融の中心的担い手は銀行だったので、仮想通貨のような全く新しい技術に銀行は大きくリソースを割くのは難しいです。
5.技術の供給は市場の需要と等しいとは限らない。
銀行でいえば技術の供給は貸し手と借り手のマッチング、それに口座間の送金機能だけど、市場の需要に合ってるとは限らないですよね。
でも相変わらず市場に合っていないサービスを供給しています。
しかも、中央銀行も民間銀行もブロックチェーン技術や仮想通貨を既存の技術からの延長で持続的なイノベーションとして捉えているので、送金の性能には着目しているものの、仮想通貨によって作られるエコシステム(生態系)の構築をまったく無視しているんです。
つまり、既存の中央銀行に通貨発行益の優位性はなくなり、仮想通貨や法定通貨といったアセット(資産)を作り出す発行体のひとつにすぎなくなるのかなぁと。
また、民間銀行も仮想通貨が一般的になった世の中では資本経済の中心じゃあなくなって、貸し手と借り手をマッチングさせるための手段のひとつになり、そこに多額の資金が集まるかどうかは銀行が作るエコシステム次第になってくると思います。
そうなると、仮想通貨関連金業が金融機関を傘下に収めたり、その逆もあったり、金融市場の再編とトークンエコノミーの実現が見えてきます。
仮想通貨市場の未来
仮想通貨という「破壊的イノベーション」によって金融市場だけでなく、トークンエコノミーによって世界の動きもかなり変わってくるんじゃないかなー?
社会の分散化も進んでいくはずですが、そのきっかけを作るのはまだまだ市場の小さい仮想通貨だと思っています。本当の意味で「価値のインターネット」となる日もそう遠くないはずです。
仮想通貨の未来は明るいぞぉー! というわけで、今回はいかがでしたか?
最後に。仮想通貨のご利用は計画的に!
うめ吉でした〜
あとがき
年始から仮想通貨市場の冷え込みが続いていますが、国内大手企業が相次いで仮想通貨事業への参入を発表するなど、水面下では着々とイノベーションを受け入れる準備が進んでいます。
ただ、こんな下げ下げ相場の時には、仮想通貨やブロックチェーンが生み出すであろう未来のことを考えるのもいいかもしれませんね。
うめ吉さんの過去記事も合わせてご覧ください。
第1弾:仮想通貨バブルは終了しました
第2弾:仮想通貨で銀行がなくなる日
第3弾:仮想通貨による法定通貨の暴落
第4弾:仮想通貨が有価証券になる日