『ICO』という言葉は、仮想通貨投資をやっている方なら一度は聞いたことがあると思います。しかしながら、仮想通貨を始めるよりもICOを始めることはさらにハードルが高く、仮想通貨投資家でもICOを始めていない方も多いと思います。
今回は、ICOの実状、メリットやデメリットから実際の参加方法まで、この記事を見ればICOについて一通り分かるように解説します。
ICOを学ぶ前に、仮想通貨やビットコインの始め方を知りたい方は、仮想通貨(ビットコイン)の簡単始め方ガイドをご覧ください。
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ICOの実状
ICOは詐欺なのか?
5000万ドル以上集めたICOを「詐欺」「失敗」「行き詰まり」「先細り」「有望」「成功」の6つの分類に分けた場合に約81%のICOが詐欺に分類されるという調査結果をICOのアドバイザリー企業「Satis Group LLC」 が発表。
上場するICOトークンは全体のたった8%だった。https://t.co/vOtj24DEkZ
— 玲奈@丸の内OL仮想通貨ブログ (@reinabb3) 2018年4月4日
ICOの80%以上が詐欺であるという調査結果がも出ており、かなり厳しい状況です。ただ、しっかりと上場を果たしている仮想通貨も存在しているため、投資家にはより確かな『目利き』が必要になってきました。
ICOは儲かるのか?
答えは、「うまくやれば儲かる」です。
Recently listed #ICO‘s have been performing well. Go to our WhiteList page and never miss the next gem! https://t.co/YUBuUT7eoN pic.twitter.com/Y2SFY8zpmP
— ICO Drops (@ICODrops) 2018年5月2日
上は、『ICO drops』という有名なICOのレーティングサイト(格付けサイト)が発表した最近上場を果たしたICOの投資リターンに関するツイートです。何と、上場後すぐに最大で10倍になっている仮想通貨もあります。
逆に投資額の元本割れをしている仮想通貨もありますので、『目利き』の力さえあれば、まだまだ面白い投資先であることには間違いありません。
では、ICOとは?
ICO(イニシャル・コイン・オファリング)
ICOとは、Initial Coin Offering(イニシャル・コイン・オファリング)の略です。
- Initial(イニシャル)・・・初めの、最初の、皮きりの
- Coin(コイン)・・・硬貨、コイン
- Offrering(オファリング)・・・申し出、提供、売り出し
ざくっと訳すると『最初のコインの売り出し』を意味します。もう少しかっこいい表現だと『新規公開仮想通貨』という感じでしょうか?
ICOは、主に企業などが資金を集める際に用いられる資金収集の方法の一つとなっています。『トークンセール』や『クラウドセール』と言われることもあります。
企業は、ICOを通じて出資者を募り、出資してもらう条件として新たに作った仮想通貨を出資者に配ります。
IPOとの違い
株を新規で公開することをIPO(Initial Public Offering/イニシャル・パブリック・オファリング)と言います。IPOの目的はICOと同じで、資金収集方法の一つです。
では、なぜ企業はIPOではなくICOを選択するのか?
ICOは、IPOよりも実施のハードルが格段に低いためです。IPOを行うためには、各国での厳しい条件や規制をクリアしなければいけませんが、ICOは比較的簡単に実施できるため、資金をすぐに集めたいスタートアップ企業(ベンチャー企業)に人気です。
投資家から見たICOのメリット・デメリット
ICOのメリット
ずばり、最大のメリットは投資額に対して大きなリターンを得ることができる可能性があることです。先ほど紹介したように10倍になるようなケースもあります。場合によっては、短期間に100倍なんてケースもあるため、リスクを承知の上で、ICOに参加する投資家が途絶えることはありません。
イーサリアム(ETH)のICO時の価格は数十円程度でしたので、昨年末の高値の時に売り抜けていれば、なんと4,000倍になっていたことになります。
ICO時に10万円分買っていれば、なんと4億円です。とてつもない上がり方です。
また、これから実用化されるであろう新規の仮想通貨を初期の段階から見つけ出す『宝探し』的な楽しみ方もあります。
ICOのデメリット
先ほども触れましたが、儲け話には詐欺がつきもので、多くのICO詐欺が横行しています。最近では、人気のICOを仲介する業者も増えてきており、「支払を済ませても実際に仮想通貨が貰えなかった」というようなトラブルも増加しています。
ICO後、取引所に上場できない仮想通貨も多いです。また、ICOはスタートアップ企業が実施することが多く、全ての企業の技術力が高いとは言えず、予定している開発計画を達成することができないケースもあります。
このような場合、持っている仮想通貨はただの『電子ゴミ』に変わり果ててしまいます。
ICOの始め方ガイド
- 情報を収集する
- ホワイトペーパーを見てみる
- ICOプログラムに登録する
- 実際に購入する
流れとしては、主に4つあります。それぞれ詳しく解説します。
情報を収集する
ICO投資にとって一番大切な部分です。情報収集のやり方次第で良いICOプログラムに巡り合えるかどうかが決まります。
ICOサイト(日本語)
まずは日本語で簡単にICOを探したいときには『COINJINJA』がおすすめです。このサイトでICOプログラムの概要をつかみます。
ICOサイト(英語)
2つのサイトを紹介しますが、いずれも英語のため、英語が苦手な方はGoogle先生に翻訳を手伝ってもらってください。
いずれもレーティングサイトと言われるICOの格付けサイトです。レーティングサイトを見ることで、市場でどのくらいの評価を受けているICOなのかを図ることができます。
まずは、『ICO bench』です。
- 紹介しているICOプログラムが多い
- 5点満点で評価
紹介しているプログラムが多いので、名前を聞いたICOはたいてい見つけることができます。以前は、4点以上のプログラムは上場後のリターンが大きかったイメージですが、最近は点数の付け方が甘いのか、高得点であってもICOから元本割れしているケースが多いようです。
次は、『ICO drops』です。
- 紹介しているプログラムはやや少なめ
- 「NEUTRAL」「LOW」「MEDIUM」「HIGH」「VERY HIGH」で評価
辛口評価で知られているレーティングサイトです。最高評価の『VERY HIGH』をもらえるプログラムは少なく、『VERY HIGH』がついたプログラムに人気が集中する傾向があります。結果として、上場後に実際に高騰するケースも少なくありません。
最近の「バイナンス(Binance)に上場すると、その仮想通貨は高騰する」に近いです。いつまで続くかは不明ですが、現時点では「『VERY HIGH』がつくと、そのICOは上場後に高騰する」というサイクルができているように感じます。
テレグラム(Telegram)
多くのICOでは運営との情報交換の場として、テレグラム(Telegram)というメッセンジャーアプリを利用しています。ICOプログラムに関する最新の情報を取得するためには必須のアプリです。
ホワイトペーパーを見てみる
ホワイトペーパー(白書)とは、ICOの概要、仮想通貨の性能やロードマップ(今後の予定)などが記載されている投資家向けに作られた解説書のようなものです。
株のIPOでいうところの『目論見書(もくろみしょ)』のような位置づけの存在です。
ICOプログラムによって違いはありますが、PDF形式で50ページから100ページのものが一般的で、残念ながら英語で書かれているものが多いです。時々日本語訳をされているものもあります。英語が苦手な方は、Google先生に訳してもらいましょう。
ホワイトペーパーを読む上でのポイントは以下のような感じです。
- そのプログラムは何を実現しようとしているのか?
- 新しく作られる仮想通貨の性能は?
- 資金調達予定額はいくらなのか?
- 運営メンバーはどのような人たちなのか?
- ロードマップ(今後の予定)は実現可能なのか?
大事な財産の一部を投資するわけですので、何も知らないまま「なんとなく上がりそう」でICOに参加しないようにしましょう。
ICOプログラムに登録する
気になるICOプログラムが見つかったら、プログラムに登録してみましょう。登録まではもちろん無料です。
メールアドレス
多くのICOプログラムでは、最初にメールアドレスの登録を求めてきます。プログラムによっては、その後に個人専用のページ(ダッシュボード)を提供してくれます。ダッシュボードを作る際には、パスワードや2段階認証などの設定も必要になります。
リスクを軽減するために、取引所で使用しているメールアドレスと違うメールアドレスをICO用に取得することをおすすめします。
KYC(Know your customer)
KYCとは、『Know your custoer』の略で、『顧客確認』を意味します。
国によっては、すでにICOを規制しているため、そのような国に住んでいる人たちがプログラムに参加しないようにするために導入されている仕組みです。ICOプログラムによってはKYCを求められないケースもまだ多いです。
KYCで確認されることは主に『本人確認』『居住国の確認』の2点です。
- 『本人確認』・・・パスポート、運転免許証など
- 『居住国の確認』・・・銀行の残高証明、請求書など
『本人確認』用資料としては、パスポートを要求されることが多いですが、まれに日本の運転免許証でいけるケースもあります。
『居住国の確認』とは、直近でプログラムへの参加希望者が実際にどこに住んでいたのかを確認する作業です。以前は、『本人確認』用資料だけでよかったのですが、『居住国の確認』用資料を求められるケースも増えてきました。
『居住国の確認』用資料として一番良いのは、英語で書かれた銀行の残高証明だと言われています。ただ、今のところは、水道料金の明細(銀行引き落としでもポストに入っている)を英訳なしでそのまま提出しても問題になったことはありません。
KYCの他に、プログラム参加希望者に簡単なテストを実施するケースが時々あります。内容はホワイトペーパーの中身や投資の目的などです。
実際に購入する
購入方法はプログラムによって異なってきます。
主に3つの型に分類されます。(私が勝手に分類しているだけです)
イーサリアム型
現在の主流となっている方式です。
イーサリアムなどのプラットフォーム系仮想通貨のブロックチェーンを用いたものです。この方式ではイーサリアム(ETH)とイーサウォレットが必要です。
主な手順は以下の通りです。
- 国内の取引所でイーサリアム(ETH)を購入する
- My Ether Walletを作成する
- My Ether Walletにイーサリアム(ETH)を送金する
- プログラムが指定してきたアドレスにイーサリアム(ETH)を送金する
- My Ether Walletに購入した仮想通貨が送金されてくる
※イーサウォレットは他のものを使用することもできますが、My Ether Walletが最も一般的です。
ダッシュボード型
比較的多い方式にダッシュボード型があります。
プログラムが提供してきた個人専用ページ内で購入する方式です。
特徴としては、イーサリアム(ETH)だけでなく、プログラムが指定してきたいくつかの仮想通貨を用いての購入が可能となります。場合によっては、『PayPal』を用いて法定通貨で購入することもできます。
また、取引所からそのまま仮想通貨を送金して購入することができます。
ただ、ICO終了後にはダッシュボードから自身のウォレットに仮想通貨を移し替える必要があります。
有名な案件としては、すでに終了していますが、コムサ(COMSA)などがこれに該当します。
取引所型
該当案件は少ないですが、最も簡単に購入可能な方式です。
プログラムの運営が取引所を持っている場合、その取引所の口座を開設していれば、通常の取引と同じように購入可能な方式です。
有名な案件だと、キャッシュ(QASH)が該当します。取引所ではないですが、バンクエラ(BNK)も近い方式です。すでに取引所を持っている運営が実施するプログラムなので詐欺などのリスクも低いプログラムと言えます。
ICOでは買わずに上場後を狙う?
ICOにはリスクがつきものです。そのため、ICO時に調べるだけ調べておいて、ICO時には買わずに上場後に購入するという選択肢もあります。
ICO時に買った方がもしかしたらリターンが大きくなるかもしれませんが、上場後を狙うことで、最大のリスクである『資金の持ち逃げ』や『上場されない』などのリスクを回避できます。
また、ICOから上場までの期間が長い場合は、ある意味、『資金拘束』に繋がります。他で運用していた方がリターンが大きいかもしれません。
最近の傾向として、人気のICO案件では上場直後は高騰して、その後すぐに急降下する場合が多いです。そのため、上場直後には手を出さずに、少し落ち着いたタイミングで購入する方が良いように感じます。
ICOの今後
日本においても、ICOに関する規制が強まることは間違いありません。
- 日本人は金融庁が認めたICOプログラムにしか参加できなくなる
- 一般向けではなく、一部の大口向けのみのクローズドICOが増える
- そもそもICOではなく別の資金調達方法で新しい仮想通貨を作る
というような、大きな変化も想定されます。大きな動きがありましたら、追って記事にしていきたく考えています。
まとめ
仮想通貨投資自体がハイリスクハイリターンです。ICOはさらにその傾向が強いです。
ただ、仮想通貨で大きく資産を増やしてきた方たちの多くが、ICOや上場直後にまだ無名であった仮想通貨に投資をしてきたことも事実です。
ICOはまだまだ面白い投資先であることは間違いないです。この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。