コラム

仮想通貨が有価証券になる日|仮想通貨投資家が知っておくべき論点とは?

こんにちは、ジーン(@btcgene3)です。
今回は、仮想通貨仲間のうめ吉さん(@umekichi8hvt)による寄稿記事の第4弾です。

どうも、うめ吉です( ˘ω˘ )
今回は最近仮想通貨界隈がざわついている話題、特に米国で議論になっている『仮想通貨を有価証券とみなすか?』について書いてみます。

興味があったら読んでねー。

なぜ議論が過熱しているのか?

事の発端は2018年4月23日に米商品先物取引委員会(CFTC)の元委員長、ゲーリー・ゲンスラー氏が「イーサリアム(ETH)とリップル(XRP)には有価証券である揺るぎない根拠がある」と発言したことからです。
この発言はメディアで大きく取り上げられ波紋を呼びました。

その後、4月30日には米証券取引委員会(以下、SEC)のロバート・ジャクソン委員が米CNBCのインタビューで、仮想通貨を証券取引法に準拠するように検討していくと語ったことで、米国では仮想通貨を有価証券として扱う方向に動いているようです。
特にイニシャル・コイン・オファリング(以下、ICO)に関して投資家の保護を強調しているとのこと。

ただし、ビットコイン(BTC)についてはコモディティ(一般消費財)として有価証券からは除外するみたい。

有価証券かどうかの境界線は?

つぎの2つの事柄によって有価証券かそうでないかを分別しているようです。

  1. 発行主体によってコントロールされている
  2. 資金の出資によって共同で事業を運営し、配当が分配される

まず①については、管理者がいない分散型プラットフォームの場合は除外されることになりそう。つまり、イーサリアム(ETH)やネム(XEM)などはこれに該当しないんじゃないの?って事です。

逆にリップル(XRP)や、ERC20準拠の企業トークンなどはこれにあたるんじゃないかと言われてるみたい。以前もThe DAOというプロジェクトが米国で有価証券とみなされる恐れがあるという発表もありました。

ちなみに、イーサリアムもリップルも発行体がコントロールしていることは否定しています。

そして②については、ICOという資金調達法が資金の出資を募って行う共同事業運営にあたる恐れがあると議論されています。実際、SECはジェイ・クレイトン委員長らがICOトークンはすべて有価証券だとの見解を示しているそうです。

米国で有価証券として扱われるメリットは?

仮想通貨が証券ということになると、仮想通貨とそれを扱う取引所はすべてSECの管理下に置かれます。今のゆるーい感じから既存の法律でガッチガチに固められるってことです。

インサイダー取引や価格操作などは厳しく規制され、ICOもかなり制限されることで健全な市場形成がうながされます。取引所は必要な情報開示を全て行わなければならなくなります。また、いわゆる草コインも含めて発行体も全てSECに管理されるため、詐欺コインは淘汰されます。

つまり、投資家保護によって今まで仮想通貨に興味を持っていなかった機関投資家の資金が流入する可能性が高いという事です。
あれ?証券扱いになったほうが良くない?

米国で有価証券として扱われるデメリットは?

もちろん良いことばかりではありません。
考えられるデメリットは4つあります。

  1. 米国の多く仮想通貨取引所は情報開示などさまざまな基準を満たさないところは潰れます。
    ようは仮想通貨取引所は証券会社と同じ括りになるので、既存の証券会社に場を奪われちゃうのかな?
  2. SECの基準を満たさない草コインは取引できなくなるため、暴落もしくは無価値になります。草コイナーはやばいっすね。面白い草コイン発掘の楽しみも無くなります。
  3. ICOによる資金調達はかなりハードルが上がるため、優れたビジネスモデルを持つベンチャー企業やプロジェクトが世界中から資金調達しにくくなる可能性が高まります。
    準備にかかるコストや手続きも増えるので「みんなで育てるプロジェクト」みたいなのは無くなりますね。
  4. 米国の証券会社はKYC(Know Your Customer:本人確認)のハードルが高く、職業や年収等さまざまな確認が必要になるため、(確認の難しさから実質)外国人を排除することになります。
    つまり米国のPoloniex(ポロニエックス)などの仮想通貨取引所を使っている日本人は締め出されちゃいます。

うーん、日本人にとってはさっぱりメリットがありませんなあ。

純粋な分散型プラットフォームは証券扱いを逃れる可能性も

ビットコイン(BTC)と同じように、イーサリアム(ETH)やネム(XEM)はコモディティとみなされる可能性もあります。そうすると既存の仮想通貨取引所はそういった分散型プラットフォームのみを扱う所に変わっていくかもしれません。

ただ、そうなると米国では仮想通貨取引所の取り扱い銘柄が極端に減り、日本の取引所のように味気ない感じになっちゃうかも。
だったら米国の取引所を使う意味もありませんなー。

ま、あくまで可能性ですけどね!

これからの展望は?

日本政府はこれまで、「仮想通貨は有価証券とみなさない」としてきましたが、ここにきて「有価証券に適用を検討すべき」という話もでてきました。

しかし、日本ではすでに仮想通貨交換業が登録制になっており、登録交換業者により2018年4月23日に『日本仮想通貨交換業協会』も設立しました。
これにより新たな規制の枠組みも自主規制という形で作られ、いずれは法律化されていくような流れなので、現在の有価証券の枠組みとは別の『仮想通貨』としてこれからも取り扱いされる可能性が高いです。

でも、日本は仮想通貨取引の中心からは離れていっています。
世界最大の仮想通貨取引所『Binance(バイナンス)』を排除したように、日本は明らかに国内企業の利権保護を優先していますね。
反対にマルタやバミューダといった国が『Binance(バイナンス)』を受け入れ歓迎しているように、クリプトコイン・ハブとして仮想通貨関連企業が動きやすい環境を整えながら、詐欺やマネーロンダリングについては厳しく取り締まるような国が次の『仮想通貨覇権』を握るんじゃないかなー。

やっぱり大きくて国内利権が強いところよりも、小さな国を中心に仮想通貨は分散化して発展していくでしょう。そういう所は海外からも積極的に資金を受け入れていくから、仮想通貨投資家・トレーダーは保護された大国と自由な小国の両方を使っていくのが賢いやり方だと思うなあ。

ただ、どちらの国にも共通していることは、仮想通貨に大きな価値を見出しているということ!どう転んでも仮想通貨は発展していくんでしょうなあ~。

まぁ~今は仮想通貨も玉石混交なので、変なコインを掴まされないように気を付けてね!
仮想通貨のご利用は計画的に!

あとがき

うめ吉さんの寄稿記事もいよいよ第4弾まできました。もう、連載の形にしてもいいくらいのペースで記事を書いてくださっています。ライトな感じの文章ですが、内容はいつも重厚感があり、とても勉強になります。

うめ吉さんの過去記事も合わせてご覧ください。

 第1弾:仮想通貨バブルは終了しました
 第2弾:仮想通貨で銀行がなくなる日
 第3弾:仮想通貨による法定通貨の暴落

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ジーン
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元バイオテクノロジー分野の研究者。事業計画、経理・税務、ブランド戦略、Webマーケティングから営業までいろいろやります。2017年からは『仮想通貨』にどハマり中。このサイトが皆さまのお役に立てれば幸いです。 ちなみに、アイコン画像は遺伝子(gene:ジーン)の模式図。
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