仮想通貨のあれこれ

日本は仮想通貨後進国になってしまうのか?|日本の仮想通貨取引所の問題点を考える

世界最大手の一つの仮想通貨取引所であるHuobi(フオビ)が日本ユーザーの使用停止を発表し、仮想通貨界隈に激震が走りました。

HitBTCやKucoinもすでに同様の発表を行っており、今後、日本人ユーザーが使用できる海外仮想通貨取引所がどんどん減っていくことが想定されます。

少し前には、金融庁が日本最大手であるbitFlyer(ビットフライヤー)を含む、仮想通貨交換業者6社に業務改善命令を出しました。

今回は、そもそも「なぜ、日本人は海外仮想通貨取引所を使用するのか?」などを改めて整理してみることで、現在の日本の仮想通貨取引所が抱える問題点を考えてみます。

また、「金融庁が今後日本の仮想取引所をどのように育成していくのか?」についても考察してみます。

日本人が海外取引所を使用する理由とは?

いつ全面禁止になるかも分からないというリスクを抱えながらも、日本人ユーザーの多くは海外仮想通貨取引所を使用し続けています。

いったい何故なのか?

理由は単純です。日本の仮想通貨取引所がイケてないからです。

銘柄数が少ない

現在市場に流通している仮想通貨は1,500種類とも1,600種類とも言われています。

このうち多くの仮想通貨は今後生き残れない可能性がありますが、時価総額が低い所謂草コインと言われる仮想通貨の中にはメジャーアルトコインまで昇格する可能性があるダイヤの原石も存在します。

しかしながら、日本の仮想通貨取引所で購入可能な仮想通貨はせいぜい数十種類です。

手数料が高い

一部の良心的な取引所を除いて、多くの日本の仮想通貨取引所は取引所ではなく、販売所の形式をとっています。

安価な手数料で株式のように板取引が可能な取引所ではなく、残念ながらスプレッドと言われる割高な手数料を搾取する業者が多いのが日本の仮想通貨取引所の実態です。

なぜ板取引ではなく、販売所形式を金融庁が認めているのかは甚だ疑問が残る部分です。

迅速な施策が打ちにくい

これは何も仮想通貨取引所に限った話ではありませんが、日本は規制が厳しいために企業の重要な意思決定が遅れることが多いです。

仮想通貨取引所は戦国時代です。海外の多くの仮想通貨取引所は顧客獲得のために、様々な施策を駆使しています。

直近では、「トレードマイニング」という取引を行うたびに、手数料を取引所トークンにて還元する施策を用いて、莫大な取引量とユーザーを獲得したFCoinが記憶に新しいです。

また同様の手法にて、CoinBeneがコインマーケットキャップにて取引高ランキングで1位を獲得しています。

ビットコインキャッシュ(BCH)基軸の取引所として独自のマーケテイング戦略を行うCoinExもこの手法を取り入れることで大躍進を続けています。

まだまだ取引所ランキングが60位程度のCoinExは今後も目が離せない取引所の一つです。

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セキュリティが高いわけではない

仮想通貨史上、最高額のハッキング事件は残念ながら日本のコインチェックにて起こりました。

コインチェック事件を受けて、日本の大手仮想通貨取引所はセキュリティ対策に力を入れているはずですが、技術力面等を総合的に考慮して海外の仮想通貨取引所の方が安全であると判断している投資家も多いはずです。

この問題が実は一番根深いです。

銘柄数が少なかろうと、手数料が高かろうと、真の意味で安心感が持てる仮想通貨取引所が日本には必要です。

日本を捨てたLINE、それでも日本に歩み寄るHuobi

日本の仮想通貨は鎖国状態に入っていると考えられます。

そのため、今後は日本で事業を展開しているにも関わらず、日本での仮想通貨に係るサービスを実施しない企業が数多く現れ始める可能性があります。

少し前のOKwaveもですが、今回のLINEも日本でのサービスを展開しない決定をしました。

一方、Huobiに関しては、金融庁からかなりの圧力をかけられていることが想定されますが、日本での事業継続の道をなおも模索しています。

LINEの選択

LINEは仮想通貨取引所サービス「BITBOX」を2018年7月中に提供開始することを発表しましました。

残念なことに、規制が厳しい日本と米国を除いてのサービス提供になります。

日本におけるLINE利用者は人口の半数とも言われていますので、日本における仮想通貨のすそ野を広げることが可能であったため、LINEとしても苦渋の選択であったと考えられます。

Huobiの選択

Huobiは日本人向けサービス停止を表明した一方で、JCBA(日本仮想通貨事業者協会)に加入しています。

このことは、公式に日本人向けのサービスを提供する準備に入ったことを意味します。

Huobiのような世界を牽引する仮想通貨取引所がまだ日本での事業を諦めていないことは、ありがたいことです。

それだけ、日本の仮想通貨市場が美味しいとも言えます。

金融庁が目指す日本の仮想通貨取引所のあり方

上記の日本の仮想通貨取引所の問題点などを踏まえて、金融庁が目指していると思われる日本の仮想通貨取引所のあり方を考察してみます。

海外取引所の全面禁止

遅かれ早かれ、金融庁は日本人が海外取引所を使用することを全面的に禁止すると考えられます。

理由の一つとして、海外取引所での取引は課税しにくいという点があります。

金融庁は海外取引所の取引履歴を公には入手できない立場にあります。また、多くの海外取引所はサーバーの負荷を軽減するために長くても数か月間でユーザーの取引履歴を消去してしまいます。

課税の公平性を考えると致し方ない部分もありますが、せめて日本で海外大手取引所に匹敵する優良な取引所を一つでも育成した後にして欲しいものです。

その他の理由としては、先日の仮想通貨交換業者6社への行政処分内容にもあったマネー・ロンダリング対策及びテロ資金供与対策、反社会勢力との取引の未然防止などが考えられます。

株取引に類似した仕組み

日本の仮想通貨取引所は株取引のそれに近づいていくと考えています。

具体的には、以下のような形式になると想定しています。

  • 原則、日本の取引所で全てが完結する
  • 円建ての取引が基本となる
  • 日本にない銘柄は日本の取引所を経由して取引ができるようになる

日本の資金が海外に流出しない仕組みを作り上げることを最優先すると考えられます。

先ほども申し上げましたが、要はより課税しやすくする仕組みづくりとも言えます。

販売所はなくならない

今回、業務改善命令が出た6つの取引所の中に、SBIバーチャル・カレンシーズは含まれていません。

現時点のSBIバーチャル・カレンシーズは販売所です。

ここから考察できることは、金融庁は販売所形式を特に問題視していないことです。

1ユーザーとしては、健全な仮想通貨市場の形成にためには、販売所形式は有害であり、駆逐して欲しいと願っているため、是非ここにもメスを入れていただきたいものです。

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元バイオテクノロジー分野の研究者。事業計画、経理・税務、ブランド戦略、Webマーケティングから営業までいろいろやります。2017年からは『仮想通貨』にどハマり中。このサイトが皆さまのお役に立てれば幸いです。 ちなみに、アイコン画像は遺伝子(gene:ジーン)の模式図。
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